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隔り 2

これが、冷志と志音(しおん)との初めての出会いだった。
この時、運命の歯車は動き出してしまった。


あれから一月が過ぎた。
冷志は暫く魔界に戻り、新たな人間界の情報等仕入れて来たのだった。
人間界に戻る時に冷志は情報屋の死神に
「また何かあったら、知らせてくれ、今度は暫く戻らないから、向こうまで来てくれると助かるな」

冷志はそう言って死神と別れこちらに戻って来た。
ただ、冷志は別れ際に死神の言った『貴方なら敢えて言わなくても良いと思うが、天界の者にはくれぐれも…』と言う言葉が何故か冷酷な心のどこかに引っ掛かっていた。
しかし、そんな事も忘れるくらいに冷志は暴れていた。
「人間は面白いものだ…何しろからかい甲斐がある」
そんなある日、相変らず自分の欲を満たす為にやりたい放題にしていた冷志の眼に、
あの時の少女が寂しそうな顔で冷志を見つめる姿が映った。

冷志は手を止めると、音も無くまるで滑るように少女の前に立った。
何故、そんな顔をして俺を見る…冷志がそう聞くと少女は悲しそうに冷志に答えた。
「心の中が乾いてるから、貴方は愛を知らないのね」

そう答えた少女の、大きな瞳から一筋の雫が溢れ出した。
「可哀相…」

少女は冷志に近付くと、冷志を自分の華奢な腕で抱き締めた。
冷志の頭は混乱した…
あれだけ暴れていた冷志が、その少女の行動によって暴れる事を止めてしまったのだから、
不思議な話だった。

何より一番不思議に思っていたのは冷志本人だった…
『身体が言う事をきかなぇ…どうなってるんだ』冷志は自分の中が得体の知れないもので満たされて行く様だった。

それは心地良い様な、それでいて冷志の中の魔界の血が恐怖している感じでもあり、
冷志自身今迄味わった事の無かった感情だった。
「お前は誰だ…名前は、俺に何がしたい?」

冷志は少女から離れ、少女にそう尋ねた。
少女は志音と名乗った、そして冷志の問いに答えた。
「別に何も…ただ貴方が可哀相だったからです」志音は冷志にそう答えると、更に続けて
「あの時私を助けて頂いたお礼がまだだったので、貴方をずっと探していました」

やっと貴方を見つける事が出来たと志音は冷志に優しく微笑んだ。
「お前、俺が怖くないのか?」

冷志はそう聞き返した。
志音は勿論怖いと言った、
しかし志音は冷志の眼の奥に微かな光の欠片が見える気がすると冷志に言うのだ。

冷志はこの娘は一体何者なんだ、それにこの冷志自身が躊躇した心の揺れの正体を知りたくなった。

志音は少し歩きましょうよ、私、お花がみたいわと言って冷志の手を引くと歩き出した。
歩きながら志音は冷志に貴方はどこから来たのかしらね? もしかして地獄かしら、と言って笑った。

冷志は、屈託無く話しかけて来る志音の笑顔が、とても気に入った。
魔界には無い笑顔だな、そう思うとこのままずっと見て居たい気もした。

志音はユリの咲き乱れる公園まで冷志を連れて来ると、私この花が好きなんだと言ってはしゃいだ。
ユリか…そういえばガブリエルがユリを好きだったな、でもそれももう昔の話だ、
今の俺は地獄の長として、彷徨う者の力に成らなくては…
そんな事を考えていた冷志に志音が
「どうしたの、何か考え事? ユリはお嫌い? それとも別の事? 例えばこの女何者だとか…ネッ」 そう聞いて来た。

「随分と知りたがりだな、ユリは嫌いじゃない昔思いを寄せた人が好きだった花だ、今はもう違う世界の人だけどね」
「まぁ…切ないお話ね、私あなたに興味が湧いて来たわ、あなたの中にどうしても私と同じものを感じるの? 不思議ね、まだ出会ったばかりなのに」
二人は暫く離れていた恋人同士のように、楽しそうに話した。
日が暮れる頃冷志は、帰る事にしたがその時志音は、またここで会いましょう、私は殆どここで過ごしているから、そう言って微笑んだ。
「あっ…そうだ、ちょっと待って」 志音は軽く冷志に口付けた。

慌てる冷志に、じゃあねと言って志音はどこかに消えてしまった。

動き初めていた歯車は、この時、しっかりとした動きを始めた。
あってはイケない切ない恋の物語が幕を開けてしまった。

テーマ : 恋愛小説 - ジャンル : 小説・文学

tag : 恋愛 片思い 小説 日記 妄想

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大好きな人への隠すことの出来ない思いを、書き綴っていく事で、毎日を幸せに生きていきたいと願う日記です。
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